「復讐のオークション」
圭介(けいすけ)は、人生のどん底にいた。会社で信頼していた同僚・田中に裏切られ、仕事も地位も奪われた。さらに田中は、彼のアイデアを盗み取って成功し、圭介を会社から追い出したのだ。仕事を失い、借金に追われた圭介は、狭いアパートで孤独な生活を送っていた。
そんなある日、圭介のもとに奇妙な手紙が届く。差出人不明のその手紙には、黒い封筒に金文字で「特別オークションへの招待」とだけ書かれていた。半信半疑で指定された場所に向かうと、そこには黒服の男たちが待ち構えていた。
オークション会場は、地下にある秘密の空間だった。会場に入ると、出品されていたのは「成功」「富」「復讐の手段」といった、普通ではありえないようなアイテムばかりだった。圭介はそこで、特別なアイテム「リセットカード」に目を奪われる。それは、人生の一部をやり直せるという噂の品だった。
「これさえあれば、田中に復讐できる…」
オークションが始まり、圭介は持っていたわずかな貯金を全て使い、なんとか「リセットカード」を手に入れることに成功した。しかし、使い方は自分で見つけろと言われ、具体的な方法は何も教えられなかった。
帰宅した圭介は、カードを手にしながら、田中が彼を裏切ったあの日を思い出し、強くカードを握りしめた。すると、カードが光り出し、突然周囲が歪み始めた。目を開けると、圭介はなんと田中が裏切る前の日に戻っていた。
「これはチャンスだ…」
圭介は、自分のアイデアを田中に盗まれる前に、証拠を残すように細工をし、さらに会社の幹部にあらかじめ田中の裏切り行為を報告しておいた。そして、田中が彼を陥れようとした瞬間、圭介は証拠を突きつけ、逆に田中を追い詰めた。
田中は動揺し、弁解しようとしたが、幹部たちは彼を信じなかった。彼の計画は全て暴かれ、田中はその場で会社を追い出されることとなった。
「圭介、お前には感謝している。お前がいなかったら、田中の本性には気づけなかったよ」と幹部たちは口々に言った。
その瞬間、圭介は心の中でガッツポーズをした。自分が復讐を果たし、田中に奪われたものを取り戻しただけでなく、彼を陥れた張本人を公然と追い詰めることができたのだ。
後日、圭介は再びあのオークションの招待状を手にした。しかし、彼はもう参加する必要はないと微笑み、封筒を捨てた。
「これでスッキリした。さようなら、田中」
こうして、圭介は自分の力で未来を掴み直し、かつての屈辱を見事に晴らしたのだった。